多くの人が毎日のように視聴しているテレビ。地デジ化に移行し、より高品質な映像が楽しめるようになったはずですが、中には「最近映りが良くない・・・」とストレスを感じている人もいるようです。好きな番組やスポーツ中継の途中に映像が乱れては、折角の楽しみも半減です。
ではその原因はテレビにあるのでしょうか、それとも他に原因があるのでしょうか。ここでは、テレビ受信とアンテナの仕組みについてご紹介していきます。
私たちが家でテレビを視聴する時はただ電源ボタンを押すだけ。賃貸物件に引越して初めてのテレビを設置する時でも、テレビ或いはテレビチューナー背面と壁のテレビジャックをケーブルで繋げば基本的にはすぐテレビを観れるようになっています。
そんな当たり前に映るテレビですが、「どうして映るか」までは考えることは少ないのではないでしょうか。ここでテレビを視聴できるまでの仕組みを簡単にみてみましょう。
家庭でテレビ電波をキャッチする最初の場所がアンテナ。
このアンテナ長さには理由があり、どんな電波を受信するかで必要なアンテナ長が決まります。
一般のアンテナでは1/4波長、つまり波長の長さの1/4のアンテナ長が効率的と言われており、その波長は光速/周波数で求めることができます。
いくつもテレビ番組が観れるのはその数だけ違った周波数で送受信しているからです。
テレビ放送には710MHz以下の周波数が各々割り当てられています。
よく聞く800MHzとか900MHzというのは携帯電話で使われる周波数になります。
簡単に言えば、テレビの原理は放射された電波をテレビへ誘導すること。
放射する役目はテレビ局側がやってくれていますので、それをアンテナで受信するところからが、いよいよ私たちの範疇と言えます。
ところで、良く見るとアンテナからテレビに至る間には様々な機器類・コード類が取り付いていることに気付きます。各部位ごとに必要機材や重要パーツについて見てみましょう。
ブースターとは、受信した電波を増幅することができる機器で、プリアンプ(前置増幅器)としてアンテナに近い部分に取り付けるのが効果的。ラインブースターなど。
複数のアンテナからのケーブルを1つにまとめる部品。主にアンテナポール、マスト近くに取り付けられる。地デジ+BS・CS混合器など。
入力信号を等分配し出力する機器。分配数により2分配器、3分配器等がある。全端子電流通過型分配器など。空き端子にはダミー抵抗器を取り付ける。
入力信号の一部を分岐する機器。ケーブルの長短による信号損失の差を少なくできる。
放送衛星から送信される微弱な電波のレベルを増幅する機器。
ケーブルテレビ加入の際に設置される機器。アンテナによる地デジ受信には不要。
マスト取付の軸となる支柱。ポールが伸縮するタイプも。下部には支線ワイヤー、支線ボルト、脚元には屋根馬金具を設置して固定する。
突き出し金具やサイドベース金具、軒先金具とも。屋根に取り付けられない場合の壁面専用の金具。壁面に金具をボルト止めし固定する。マストやポールをクランプで挟むタイプにはクッションパッドが付属しているものもある。
BSやCSアンテナなど、ベランダに取り付けることの多いアンテナには、格子ベランダ壁面用、コンクリート手すり専用金具など、ベランダ取付用の金具もある。また、床に直置きしたい場合にはアンテナ用三脚がある。
アンテナとテレビまたはチューナーを繋ぐメインとなるケーブル。3C、4C、5C、6Cなどの数字は直径サイズを示す。小型テレビなど接続するデジタル機器によっては、ミニプラグしかない場合があり、3.5mm変換ケーブルやF型コネクタなどの変換コネクター・接栓使って同軸ケーブルを加工する必要がある。
コンセント部のテレビジャックの形状によっては、プラグを使いケーブルに合わせて変換する。家庭用のプラグの種類で使用が多いのはF型だが、古い建物でテレビジャックがフィーダー端子になっているものについては、75Ω-300Ω変換プラグを付ける必要がある。
1/4波長垂直アンテナは接地型で、地面にアース線を接地することで電波を受信することができる。この接地には平編み銅線(編みアース線)が利用される。
現在の地デジ対応のテレビには、信号を受信するチューナーが内蔵されているのが一般だが、アナログチューナーしかない古いテレビには、地デジチューナーという機器を間に介する必要がある。
地デジ以前はUHFとVHFが分かれていて、電波を混合したり分けたりという必要があったこともあり、古いテレビやテレビ端子を利用・接続する時には、UV混合器(ミキサー)、整合器、切替器、分波器(セパレーター)などを使用することがある。
アンテナからテレビまでの様々なパーツをご紹介しましたが、取付工事部品の固定・修理にはまだいくつもの工具類も使用されています。
ナット、ネジ、ボルト、ビス、プラスドライバー、モンキースパナ、ケーブル用結束バンドなど
カッターナイフ、ニッパー、ペンチ など
防水テープ、防水キャップ、パテ など
テレビもアンテナも新品、断線やアンテナの転倒・倒壊もなし、天気も良好、そんな状態であるのに、映像が途切れたりして快適に観ることができないというケースがあります。 これは何故なのか。
テレビの映りを左右する要素についてご紹介しましょう。
映像の乱れの一つに、映像・音声が何重かにズレて見え聞こえる「ゴースト障害」という現象があります。
送信アンテナからの正常電波と同時に、近隣の建物から反射された電波を受信することで発生。都市部に多く、高層の建物が乱立して電波がいくつも反射してしまうのが原因。
アンテナ位置を変更するか、軽度なものであればノイズフィルターで解消できる場合がある。
テレビ電波は、周辺の地形・障害物などによって電波が弱い・強いという差が生じるため、映り具合に応じて場所ごとにアンテナ性能を適切に選択する必要があります。電波がどれだけの強さで届いているかは、レベル測定器(テスター、レベルチェッカーともいう)で測定することができます。
素子とは八木式アンテナの場合で言うと電波を受ける横棒のこと。数が多いほど電波を受信しやすく、比較的電波が強い地域では8素子、14素子など、電波が弱い地域では20素子、26素子などを採用します。
テレビ電波には、大地に対して垂直(V)な偏波と水平(H)なH偏波、つまり縦波(E面)と横波(H面)があります。一般的には水平偏波ですが、地域によって送信方式に違いがありますので、偏波の種類を確認し、受信できる性能を持ったアンテナを選びます。
指向性とはアンテナの向きに対する感度の特性のこと。アンテナを左右に振った時、受信レベルが半分になる角度「半値角」の幅が狭い場合は指向性が鋭いので、なるべく電波が送られてくる方位に向ける。
更に、衛星放送の場合は衛星に合わせてアンテナ角度を気にする必要があり。衛星放送を受信する場合は、LNBの向き(偏波角)、上下の向き(仰角)、左右の向き(方位角)を調整します。
アンテナの設置位置は、次のような点にも注意が必要です。
アンテナからテレビに至るまでに付属する多くの機器やケーブルのほか、アンテナの性能や設置位置、どこか一つで不具合があっても快適な映像を観ることはできません。
新設や交換をはじめ不具合の原因究明、修理の必要に迫られたら、経験豊富なアンテナ業者に任せるのが賢明です。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。